HPVワクチンのキャッチアップ接種に関する意見書採択
12月10日の本会議では、私たち会派から提案したHPVワクチンのキャッチアップ接種に関する意見書も賛成多数で採択されました。意見書は以下になります。12月中に厚労省の専門家会議が開かれる見込みとの報道もありますが、情報を知らないで定期接種を逃してしまった世代へのフォローも実施していく必要があると強く考えています。この意見書が後押しすることを願っています。
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定期接種の機会を逃した女性に対するヒトパピローマウイルスワクチン接種機会の確保ならびにより効果の高いがん予防対策を求める意見書
ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは定期接種であるにもかかわらず、2013年6月以降、積極的勧奨を差し控えたまま8年余が経過しました。これに伴い、2000年4月~2005年3月生まれの女性のほとんどは、情報がないまま接種機会を逃しました。その方々は、定期接種の期間を過ぎた場合に公費での接種が受けられなくなることも含めて情報が伝えられていません。このまま接種がなされなければ、約22,000人の女性が防げたはずの子宮頸がんに罹患し、約5,500人の女性が子宮頸がんで命を落とすと推計されています。
定期接種の機会を逃した女性のうち、自ら希望し任意接種を受ける女性は、高額な費用を自己負担しなければならず、万一副反応が発生した場合の補償にも差が発生します。経済的理由により任意接種ができない場合、がん予防に経済的格差が発生し、これから妊娠・出産を考える女性の妊孕性を脅かすことは、公衆衛生上の重大な問題です。
令和3年11月26日、厚生労働省は積極的勧奨再開の通知を自治体へ発出しましたが、すでに接種機会を逃した女性の救済は急務です。また、4価ワクチンの肛門がん等HPV関連がんの予防効果について男性への適応が追加され、男性への定期接種も今後期待されています。さらに、9価ワクチンも承認されたことから、より効果の高いがん予防対策となるよう、早急に予防接種法施行令を見直す必要があります。
よって中野区議会は、国会及び政府に対し、守れる命と健康を守るため、下記の事項を求めます。
記
1 定期接種の接種機会を逃し、HPVワクチンの任意接種を希望する女性に対して、経済的負担を軽減するための措置及び財源の確保を行うこと。
2 定期接種の接種機会を逃し、既に自費で接種した女性への償還払いを、前項の措置及び財源の確保の対象に含めること。
3 接種を躊躇せず安心してHPVワクチンによる子宮頸がん予防が行えるよう、有害事象に対する診療体制を強化し、ワクチン接種について検討・判断するために必要な情報提供を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
年 月 日
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣 あて
厚生労働大臣
内閣官房長官
中野区議会議長名
第4回定例会が閉会しました
11月25日から行われていた中野区議会第4回定例会は、12月10日に閉会しました。
この定例会では、来年度から区に移管される児童相談所に関する条例が多く提出され、可決されました。
また、これからの児童館のあり方の第一歩となる児童館条例も提出されましたが、20;20で議長採決になり、否決となりました。私たち立憲民主党・無所属議員団は児童館を一定数残すためには集約化が必要であり、今回の条例に賛成の立場でした。昨日行った賛成討論を以下に記載致します。
上程中の第85号議案「中野区立児童館条例の一部を改正する条例」に対し立憲民主党・無所属議員団の立場から賛成討論を行います。この条例は、弥生児童館、朝日が丘児童館、新井薬師児童館、大和西児童館を廃止するものですが、そのうち弥生児童館については閉館しやよい荘の施設改修中の代替施設となりますが、他の3児童館跡地は「学童クラブ施設」として、地域の乳幼児親子の居場所と学童クラブの需要にこたえる為に引き続き活用されます。
前区政では、順次各小学校に学童クラブ併設のキッズ・プラザを設置し、最終的には児童館全館を廃止する考えのもと、実際、多くの児童館を廃止してきました。酒井区長はこの考えを転換し児童館を一定数残していくことを公約として区長選挙に当選されました。そして、就任間もなくの平成30年第3回定例会に「地域の子育て支援拠点の考え方について」を報告し、「児童館を地域の子育て活動支援拠点として位置付け、その役割や機能を整理し適正な配置を行う」と表明。その一年後の令和元年第3回定例会には「地域の子ども施設のあり方について」を報告し、これまで児童館が担ってきた役割と今後求められる役割を整理したうえで、中学校区に1館、全9館を存続させることとしました。
私たちの会派は、一貫して児童館の全廃方針には反対し一定数の存続を求めてきました。それは、児童館はただの子どもの遊び場というだけではなく、地域コミュニティの核として非常に重要な施設だからです。
昨今いじめや不登校、ひきこもり、貧困、虐待といった子どもや子育て家庭のおかれている社会的課題があります。こうした課題に対応するため、区は存続する児童館には、子どもの居場所・遊び場といった機能に加え、子育て支援拠点や相談、地域での見守り、子育て支援団体のネットワーク支援といった機能を強化する「新たな機能を備えた児童館」とすることとしました。
また、これまでは対応しきれていなかった中高生の居場所機能の拡充や、長年利用者の要望が大きかった週7日の開館も実現する予定です。
これらの点を評価すると共に、着実な機能強化の実現を求めたいと思いますが、そのためには、子どもや家庭への対応にスキルをもった職員が必要です。また地域のネットワークを作るための公平性、安定的な事業経営、公共性、継続性が必要であり、当面の間、区の職員による直営での運営が必要です。
前区政では、児童館は全館廃止が前提であったため、長年職員の採用がなく、人材育成も不十分でした。そのため10年後には半数の職員が定年を迎え、今年度末には6名が退職を迎える予定です。現在の18館のまま児童館を運営していくには職員の絶対数が足りません。不足する職員充足のために、民間人材を採用することも考えられますが、児童館を運営するに足りるスキルを持った人材育成を、1館たった3人の職員体制の中行っていくには限界がある上、中野区の積み重ねてきた直営での児童館運営のノウハウを継承できなくなります。また、これからの児童館に必要とされる機能を担う職員には、高いレベルでの対応が求められます。だからこそ今児童館を集約化し、ノウハウの共有や人材育成のできる環境を早急に整備することなども必要で、これに関しては待ったなしの状況です。
児童館の配置については、地域の子どもの居場所として、子育てひろばや学童クラブ、キッズ・プラザとあわせて考えなければいけません。乳幼児親子の居場所となる「子育てひろば」は、5年前には2か所しかありませんでしたが、今年度は委託・直営併せて9箇所まで増え、コロナの影響が出るまでは年々利用者も増加していました。今後も整備の計画があり、現在計画されているだけでも児童館が9館となった時点で区内21か所となり、半径500メートル圏でいうと、2~3カバーしきれていないエリアはあるものの、ほぼ区内全域に配置がされます。補助金の出ていない中で地域の団体で自主的にやって頂いているものも含めるとさらに多くのひろばがありますが、計画の着実な実現と、不足エリアへの対応を進めて頂くよう求めます。
小学生の放課後の居場所機能としては、各学校内にキッズ・プラザが順次配置されています。整備が完了しているエリアの児童の多くはキッズ・プラザを利用しています。現在、キッズ・プラザの登録率は96%、キッズ・プラザ併設の学童クラブは99.9%と非常に高いニーズがあり、また利用者から高く評価されています。ただし、学童待機児童の問題とキッズ・プラザの面積の狭さという問題があります。これまでも指摘してきましたが、改めて対応を求めます。
区がこれまで統計情報として公表してきた児童館の利用者数には学童クラブとしての利用者も含まれているためなかなか正確な数字が把握できませんが、キッズ・プラザが整備された近隣の児童館では、利用者数は明らかに減少します。ある児童館では、学童以外の利用者数が1日10名ほどとのことです。私たちは、放課後の時間を学校とは別の場所で過ごしたい子どもたちもいることからも、高学年の児童や中高生の居場所として一定数児童館を残す事には大きな意義があると考えていますが、子育て広場、キッズ・プラザ、学童クラブという子どもの居場所が充実してきている中、財政面からも適切な施設配置が検討されるべきです。
老朽化した児童館の建て替えには1館あたり約5億円の経費がかかるとのことですが、前区政が全廃方針だったため、建替え経費を基金に積むこともしてきていません。財源に限りがある中では、運営の効率化や経費の抑制についても目を背けず取り組まなくてはなりません。
なぜ9館なのか?という疑問も多いと思いますが、中野区では、これまで次世代育成委員と児童館長が事務局を担っている「地区懇談会」が中学校区で実施され子育てネットワークがすでに地域に根付いている実績があります。学校関係者、町会など地域団体、PTAや地域の子育て団体の代表者や関係委員などが一堂に会して、子どもに関する課題について共有をしてきました。
また、こうした子育ての下支えだけでなく、これから地域学校協働本部と一体的に構築される、コミュニティスクール。すなわち学校運営協議会制度を進めるにあたり、中学校区での地域連携が基盤となっていく可能性もあります。
「新たな機能を備えた児童館」を中学校区に1館配置することで、子育て支援や地域の見守り、ネットワーク支援の強化、さらに学校連携の強化が図られます。
なかなか普通に児童館を利用しているだけでは実感できませが、中学校区を一つの単位として、こうした地域の子育てを下支えする仕組みがありセーフティネットとして機能している事をもっと区民にお伝えできれば、子育ての安心感も高まるのではないでしょうか。そのための取り組みを要望します。
来年度、機能転換する児童館については、閉館後も子どもが来館する事が考えられます。そうした子どもたちに対する見守りは、児童館職員によるアウトリーチ対応など丁寧に進めていただくよう要望致します。
また、これから順次閉館をしていく児童館の跡地活用については、本来閉館と同時に方針を示すべきです。区は跡地については、子育て支援・地域交流機能の確保を検討するとしています。区内にも既に実績がありますが、区有地に民間施設を誘致し、その際に地域のコミュニティ機能設置を求めることで、区の財政負担を抑えながら子育て世帯の居場所を確保していくことも可能と考えます。積極的な検討を求めます。
私たちは、児童館の存続を求めてきましたが、一方で現在の児童館には課題も多いと感じてきました。特に、児童館職員の対応の違いが利用者の方々からの児童館への評価のバラツキとなっている点は改善が必要です。児童館全廃は、現場職員にとっては自分たちの仕事を不要だと言われているも同然で、そうした中でやる気を失ってしまっていたのかもしれません。酒井区政になって児童館存続を前提に様々な議論を重ねる中で児童館職員もモチベーションを上げ、地域の子どもたち、子育て世帯の方々にこうしたサービスが必要だと現場からの多くの提案もあったと伺っています。
児童館数が減ることについては私たちも残念な気持ちもありますが、しかしここがこれまで評価にバラツキのあった児童館が大きく変わるチャンスであるとも考えています。自分たちの役割を改めて見直した現場の児童館職員が、館を飛び出してアウトリーチ対応をしながら一中学校区の子育て世帯と子どもたちを支えていく児童館となることを願い、賛成討論といたします。
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